一条工務店の外構
この記事は、外構工事を5年間経験した方に執筆してもらいました。読みやすいように加筆・修正してあります。
外構工事の見積もりって、目を通してみてもよくわかりませんよね。
家を建てると必ず必要になるのが外構工事です。我が家は一条工務店で家を建てて、3社の外構業者に見積もりを依頼しました。しかし結果は、上は560万円、下は170万円と同じ希望を伝えたのに差がありすぎて困惑しました。
しかし、作成してもらった見積もりを見ても、その項目が何のための工事なのかサッパリわかりません。色々と聞きたいところなのですが、ハウスメーカーと違って外構業社は強面の方が多いものです(^_^;)
そこで、今回は外構工事を実際にやっていた方に我が家の見積もりを分析してもらい、その費用について解説してもらいました!すると、言葉が難しいだけで、どの見積もりも実はカンタンに理解できることがわかったのです。
それでは、外構工事の見積もりを解説していきます!
一条工務店の外構見積もりを解説
仮設工事とは?
『仮設工事』とは、工事を開始する前に必要な準備作業、事前に手配の必要な経費などのことをいいます。
仮設工事の項目
- 遣方位置だし
- 産業廃棄物処理費
- 重機:回送・オペレーター共
遣方位置だし
『遣方位置だし』の見積もりは、以下の通りでした。
数量 | 1 |
単位 | 式 |
単価 | 51,810円 |
金額 | 51,810円 |
遣方位置だしとは、工事をするにあたって基準とする位置を計測して、印を付けていく作業のことです。外構工事用の図面には、どの位置に何を作るのかがミリ単位で記載されています。
遣方位置だしは、その正確な位置を実際の土地に反映させていくのです。完成度にも関わる、とても大切な作業です。多くの場合、家の基礎とGL(グランドライン)の高さから計測した位置に、木の杭を打ち付けていきます。
メモ
GL(グランドライン)とは、建築物を建てる時の基準となるもので、家が建っている土地の高さのことをいう。
『数量:1、単位:式』とは、上記の遣方位置だしが一度行なわれることを1式と表し、1式につき51,810円かかる作業なので、金額が51,810円という意味です。
一般的に外構工事の見積りは、区切ることの出来る作業ごとに単価が決められています。
その一区切りの作業が1度行われるという単位を式で表記しているので、見積もりを見るときの知識として覚えておいてください。
産業廃棄物処理費
『産業廃棄物処理費』の見積もりは、以下の通りでした。
数量 | 1 |
単位 | 式 |
単価 | 58,717円 |
金額 | 58,717円 |
『産業廃棄物』とは、工事中に出た建材の切れ端や空き袋などのゴミの事のことをいいます。外構工事の際に発生した建築系廃棄物は、市町村で管理されている一般廃棄物用の処分場では処理することができません。
そのため、工事を請け負った外構業者の責任で、行政から産業廃棄物の処分をすることが許可されている処理業者へ処分が委託されることになります。
処理業者により少し単価は異なりますが、この単価に運搬費や手数料を上乗せして算出されたものが『産業廃棄物処理費』です。この作業が1式行われるので、単価と金額が同じ58,717円となっています。
重機:回送・オペレーター共
『重機:回送・オペレーター共』の見積もりは、以下の通りでした。
数量 | 2 |
単位 | 回 |
単価 | 36,000円 |
金額 | 72,000円 |
この場合の『重機』とは、回送が必要な大きさのショベルカーのことをいいます。
メモ
回送とは、大型の重機を運ぶことのできるトレーラーやダンプを使って、現場まで運んでくることをいう。
『オペレーター共』とは、この重機を運転することのできる特殊免許を持った作業員が必要だということを意味しています。重機を回送して作業を2回行なうので、単価36,000円の対して金額が72,000円と表記されています。
造成工事とは?
『造成工事』とは、外構工事を進めていく上で必要な土の移動のことをいいます。先に解説した遣方位置だしに従って、土を削ったり掘ったりしていきます。
造成工事の項目
- 先行特別養生
- 先行掘削・鋤き取
先行特別養生
『先行特別養生』の見積もりは、以下の通りです。
数量 | 1 |
単位 | 式 |
単価 | 30,000円 |
金額 | 30,000円 |
『先行特別養生』とは、家を建てる前に養生作業をするという意味です。外構工事は家が建ってから作業を開始することが多いですが、家が建ってしまってからだと狭くて作業が困難になってしまうような事もあります。
その場合、家を建てる前に一部の作業をするのです。
そのため、家が建っていない状態で行う先行特別養生は、通常の養生とは別の項目で記されて単価も異なってきます。
この後も先行という言葉が出てきますが、意味合いとしては先に行うか後で行うかの違いとなり、作業内容に大きな差はありません。
先行掘削・鋤き取
『先行掘削・鋤き取』の見積もりは、以下の通りです。
機械(ミニ)数量 | 2 |
単位 | ㎥ |
単価 | 1,600円 |
金額 | 3,200円 |
掘削・鋤き取
『掘削・鋤き取』の見積もりは、以下の通りです。
機械(ミニ)数量 | 38.5 |
単位 | ㎥ |
単価 | 1,600円 |
金額 | 61,600円 |
『掘削』とは、地盤を掘る作業のことです。遣方位置だしで出した高さと位置に合わせて、地面を大きく掘り下げていきます。
『鋤き取』とは、平らもしくは決められた勾配に合わせて、デコボコのないようにコンクリート工事の土台となる地面を作り上げていく作業のことです。鋤き取は、地面を作りながら多すぎた土を残土として運び出す作業までを区切りとしています。
『機械(ミニ)』とは、ミニユンボと呼ばれる小型のショベルカーを使用するという意味です。
先行工事をした際に2㎥分の残土が出る計算で、1㎥あたりの単価が1,600円なので金額が3,200円と表記されています。家が建った後から行なう工事も同様で、38.5㎥の残土が出て1㎥単価が1,600円なので金額が61,600円となっています。
ただし、この金額はあくまで計算上のものなので、実際の㎥数は変わってくることが多いです。
外周工事とは?
『外周工事』とは、土地の境界に作るブロック塀やフェンスを建てる工事のことをいいます。
外周工事の項目
- 先行基礎工事
- 基礎工事
- 先行ブロック
- 化粧ブロック
先行基礎工事
『先行基礎工事』の見積もりは、以下の通りです。
W=250@150
数量 | 16.2 |
単位 | m |
単価 | 3,700円 |
金額 | 59,940円 |
基礎工事
『基礎工事』の見積もりは、以下の通りです。
W=250@150
数量 | 6 |
単位 | m |
単価 | 3,700円 |
金額 | 22,200円 |
『基礎工事』とは、ブロックを積み上げる前に鉄筋入りのコンクリートで平らな土台を作っておく作業のことです。
メモ
鉄筋とは、ブロック塀の強度を補強するために使われる鉄の棒のことをいう。
鉄筋は決められた間隔で縦と横に配置され、基礎とブロックやブロック同士のつながりを強くしています。
基礎に対して平行な鉄筋は、まっすぐのまま埋め込まれます。垂直な鉄筋はブロックと基礎とのつながりをより強くするため、基礎に埋まる下の部分を90度曲げて配置されています。
W=250は、その曲げられた鉄筋の長さが25㎝になっていることを意味しています。一般的に良く使われるブロックの幅が20㎝なので、それよりも長くすることによって、ブロック塀が倒れにくいように地中で引っかかる役割を果たしているのです。
@150は、基礎に対して垂直に埋め込まれる鉄筋の間隔が、15㎝間隔になっていることを意味しています。
先行工事では16.2mの基礎工事を行い、1mあたりの単価が3,700円なので金額が59,940円と表記されています。家が建った後の基礎工事は6mなので、金額は22,200円です。
先行ブロック
『先行ブロック』の見積もりは、以下の通りです。
C-120数量 | 6.7 |
単位 | ㎡ |
単価 | 8,700円 |
金額 | 58,290円 |
化粧ブロック
『化粧ブロック』の見積もりは、以下の通りです。
数量 | 3.6 |
単位 | ㎡ |
単価 | 15,500円 |
金額 | 55,800円 |
『先行ブロック』と『化粧ブロック』は、どちらもブロック本体の代金に作業工賃が加算された項目となります。使用されるブロックの種類が違うので、単価も異なっているだけです。
先行ブロックはC-120という種類のブロックで、幅12㎝のコンクリートブロックです。これは昔から良く使われている、灰色のブロックなので誰もが一度は見たことがあります。
それに対して、化粧ブロックは多彩な色や模様が付けられたブロックのことで、コンクリートブロックに比べて割高な製品となります。
先行ブロック工事が、6.7㎡で1㎡あたりの単価が8,700円なので金額が58,290円と表記されています。化粧ブロック工事は、3.6㎡で1㎡あたりの単価が15,500円なので金額が55,800円となるります。
階段・アプローチ工事とは?
『階段・アプローチ工事』とは、玄関周囲の階段やスロープなどの工事のことをいいます。
外周工事の項目
- 階段工土留め
- タイル(役物)工
階段工土留め
『階段工土留め』の見積もりは、以下の通りです。
数量 | 10.8 |
単位 | m |
単価 | 6,000円 |
金額 | 64,800円 |
『土留め』とは、高さが大きく変わるようなときに、高いところの土が低いところに流れていかない様にするためにブロックを積んで塞き止める工事です。
階段を作る時は土の坂道をブロックで囲む様にして階段の形を作ってから、タイルを貼って作っていきます。中の土が流れでないようにブロックを積んでいくことから、階段工土留めと呼ばれます。
なので、階段工土留めは階段側面に当たる部分を指し、合計した長さが10.8mで1mあたりの単価が6,000円なので金額が64,800円という見方をします。
タイル(役物)工
『タイル(役物)工』の見積もりは、以下の通りです。
数量 | 4.5 |
単位 | m |
単価 | 2,500円 |
金額 | 11,250円 |
『役物』とは、特殊な形や色をしたタイルのことをいい、模様やアクセントとして使用します。しかし、階段に用いる場合は、滑り止めのために角に使用するくぼみや膨らみが付いたタイルを指していることが多いです。
役物のタイルが4.5mあり、1mあたりの単価が2,500円なので金額が11,250円と表記されています。
諸経費とは?
機械運搬費
機械運搬費の見積もりは、以下の通りです。
数量 | 1 |
単位 | 式 |
単価 | 345,397円 |
金額 | 345,397円 |
『機械運搬費』とは、工事に使う小型機械を現場へ運搬する時の費用のことをいいます。依頼先の建築業者によって機械運搬費を取るか取らないか、どこまで経費として換算するのかが異なってくるので、少し曖昧な費用ともいえます。
例をあげると、掘削・鋤き取りで使用されたミニユンボや、コンクリートの下地として敷かれる砕石を転圧するときに使用される機械などの運搬費を指すことが多いです。
まとめ
以上、外構の見積もりがわからない|エクステリア費用の詳しい解説についての紹介でした!
現場経験者ということで、とてもわかりやすい解説でした。言い回しは変わるかもしれませんが、見積もりはどこの外構業社でもだいたい同じです。
これさえ知っておけば、外構見積もりを正しく理解して価格交渉をすることができますね!
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