一条工務店の外構
この記事は、外構工事を5年間経験した方に執筆してもらいました。読みやすいように加筆・修正してあります。
ハウスメーカーから紹介された外構業者って、すごい高いですよね。私は一条工務店の提携業者の見積もりをもらいましたが、目が飛び出るほどの価格でした。
我が家は田舎なので土地が広いという点はありますが、それを差し引いても高すぎます。結局は自分たちで探した外構業者にお願いしたのですが、195万円で満足の工事をしてもらうことができました。
実をいうと、一条に紹介してもらった外構業者も最後まで選択肢として残していました。最終的に『うちも同じ金額でやります!』といわれ、お断りしました。
だって、そのセリフが出るという事は、最初からかなりの額が上乗せされていたという事ですからね。しかし、上乗せにもそれなりの理由があることがわかりました。
今回は、そのあたりの事情について紹介していきますので、ぜひ外構業者を選ぶ際の参考にしてください!
我が家の基本情報|一条工務店の平屋アイスマート
最初に我が家の基本情報を紹介します。一条工務店のi-smart(アイスマート)というシリーズで平屋を建てました。
ハウスメーカー | 一条工務店 |
タイプ | i-smart Ⅱ |
階層 | 平屋 |
建築面積 | 約33坪 |
坪単価(建物本体) | 約65万円 |
太陽光パネル | 18.69kW |
平屋にしたので大容量のソーラーパネルを搭載しているのが特徴です。続いて、我が家の間取りと土地の概略です。
玄関は南側に設置し、家は西寄りに配置しました。北側は道路に面しています。
経験者による外構平面図の評価
まずは、外構業者に作ってもらった立面図と平面図を評価してもらいます。
立面図
平面図
使い勝手が悪そう
立面図と平面図を見て、率直に感じたのは『使い勝手が悪そう』という点です。土地を購入して家を建てるとき、最初に何を考えるかご存知でしょうか?それは・・・
駐車スペース、庭の広さ、動線、家の配置など、土地の間取りを決めることです。
この平面図の場合、南北(図面では左右)に対して中央に家が配置されています。つまり、南北に同じ程度のスペースができているわけです。
図面通り道路に面しているのが北側(左側)のみの場合、家の位置を北側に寄せてしまい、南側にスペースを割いたほうがいいのではないでしょうか?
駐車場のスペースなら、東側(上側)に十分な土地を確保できています。日当たりのいい南側を大きな庭とするのが、一般的にはベストな配置といえます。
ただし、隣地との兼ね合いや実際の使い勝手は『住む人』にとってのベストであることが一番大切なので、一概には言い切れませんが。
収縮目地が多い
工事する側の視点で見ると、収縮目地が多いと感じます。赤い矢印の部分です。
メモ
収縮目地とは、コンクリートを流し入れる際、ひび割れがおきにくくするもの。コンクリートとコンクリートの間に、あえて仕切りとして入れるプラスチックとスポンジでできた製品です。
収縮目地は、土地の高い所 ~ 低い所までの『高低差・角度・向き』によって、どこにどれだけ入れるかを決めていきます。また、角度が折れて変わるような場所、建物の角に当たる場所にも必要です。
1つのマスとして広すぎると判断された場合、追加していくのが一般的なやり方となります。収縮目地の入れすぎに関しては、日常生活で強度的な問題があるということではありません。
むしろ、コンクリートがひび割れする可能性が低くなるので良いという面もあります。しかし、ヒビが入る可能性が少ない分、コンクリート1つ1つが独立した状態となっています。
そのため、地盤が弱い部分のコンクリート1マスに大型トラックが乗ってしまったりすると、コンクリートがマスごと沈んでしまう可能性があります。
こういったことは稀ですが、引越しの際に実際に起こった事例を経験したことがあるので『有り得ない』とは言い切れません。
そしてなにより、どんなに収縮目地を入れたとしても、コンクリートはひび割れるときはひび割れてしまうものです。
コンクリートは流し入れてから、乾くまでに必ず縮みます。縮み方は気温、湿度、天気、季節などの影響を受けるので、いくら予防してもひび割れを防ぎきることはできません。
ちなみに、アフターフォローがしっかりしている場合、ひび割れの補修作業を依頼することがでますが・・・
正直なところ、これはおすすめできません。
天災・震災・手抜き工事でもない限り、コンクリートの強度に関わるほどのヒビが入ることは滅多ありません。それ以外のひび割れは、コンクリートが乾き縮んだ際にできるもので補修の必要はないのです。
多くの場合『見た目』を気にして補修依頼をするのですが、補修はツギハギと同じようなもので、やればやるほど悪目立ちしてしまうのです。
デザイン重視で差別化を図っている
立面図
平面図
コチラは先ほどとは別の外構業者の図面です。この立面図・平面図を見て感じたのは『デザイン性がある』という点です。この図面の中には、アプローチと呼ばれる玄関と道路を繋ぐオシャレな通路が作られています。
このアプローチは、インターロッキングという通路専用のレンガのようなものです。インターロッキングは15~30㎝角の物が多く、それらを1つずつ手作業で並べていくので手間と材料費がかかります。
アプローチは必ず必要なオプションではありませんが、これがあると一気にオシャレ度が増して見栄えが良くなります。最近の外構は『こだわりの庭』や『オシャレな庭』への傾向も強いです。雑誌などでもよく見かけるようになりました。
ただし、この図面を見るとインターロッキングの上を車が通る可能性がありそうです。車が乗り上げる可能性が全くない場所にアプローチを作るなら、転圧した砕石とから練りで下地を作っておけば十分です。
メモ
から練りとは、左官用語で砂とセメントを一定の割合で混ぜ合わせたものだ。これに水を混ぜると、モルタルというコンクリートから砂利を除いたものとなる。
しかし、この図面のアプローチは車が乗りあげる可能性があります。その場合、インターロッキングを並べる前に、下地のコンクリートを流し込んで強度を強くしておかなければなりません。
続いて土間コンクリートですが、大きなコンクリートを仕切って間に砂利を敷き詰める枠抜きというものが採用されており、現代的なデザインになっています。
この枠抜きによって等間隔に見えるようにコンクリートに線を入れて見栄えを良くし、縦の直線を強調することで奥行きを出しているようですね。
しかし、この枠抜きはあくまでデザイン重視といえます。
枠抜き本来の役割である『コンクリートのひび割れ防止』を果たすだけなら、この半分で十分です。そして、先ほども書きましたが、枠抜きが細かくなると上からの負荷によって沈んでしまうことがあります。
引越し業者や宅配業者などの大型トラックが乗り入れる可能性がある道路付近のコンクリートだけでも、枠抜きを減らしてコンクリートを大きくするか、厚くしておくことをオススメします。
一般の方は『コンクリート=硬い』と思っていますが、コンクリートは案外簡単に割れるものです。特に端の部分をテコの原理を使ってハンマーで叩けば、女性でも割ることが出来てしまいます。
この図面の土間コンクリートは道路に面している部分が多く、「端」が沢山あると思ってもらえれば大型車が入ってくるリスクが理解しやすいでしょう。
また、この枠抜きは数年後にコンクリートで埋めてしまう人も多いです。
なぜなら、草が生えます。
コンクリートとコンクリートの間に入れられている砂利の下は基本的に土なので、暖かくなってくると草が生えるのです。初めの1~2年は、小さな草が生えてくるだけのことが多く、軽く引っ張ればすぐに抜けます。
しかし、何年か経つと草の根がコンクリートの下にまで回ってしまい、強く大きい草が育つようになっていくのです。皮肉なことに、敷き詰められた砂利が邪魔をして、草は上手く抜けません。
草抜きに嫌気がさした結果、後から枠抜きの穴をコンクリートで埋める方が多いのです。後からだと追加でお金はかかるし、仕上がりも汚く見えてしまうので注意してください。
枠抜きを採用する場合、祖父母と同居で庭の手入れをしてもらえる、奥さんに庭の手入れをする時間の余裕がある、旦那さんが休みの度に庭の手入れを出来る、これらの条件を満たしておいた方がいいですね。
共働きで毎日忙しく動き回っているご夫婦、子育て真っ最中のご家族は喧嘩の元になってしまうかもしれません(^^;)
見積もりの解説|提携業者の外構はどうして高いのか?
続いて、見積もり金額を見ながら、ハウスメーカー提携の外構業者の価格が高い理由を解説していきます。
立面図
平面図
まずはコチラの見積額ですが、4,417,200円と提示されていました。この価格は『安くはないが、高すぎるわけでもない』という印象を受けました。
実は、この見積りは埼玉県のもので、残念なことに埼玉県の外構工事費用は高く設定されています。さらに、ハウスメーカー提携の外構業者ということで、費用が高くなっています。
今回の見積もりは、上記の条件を加味して『ちょっと高いかな?』というくらいです。
さて、埼玉県は外構工事費用が高いと言いましたが、外構工事の相場はいくらなのでしょうか?これについては、実際に現場にいる人以外で知っている方は少ないはずです。
なぜなら、外構工事は地域によって単価が大きく異なるのです。
職人が外構工事をする時、材料は現場と同じ地域の建材店で仕入れるのが一般的です。つまり、その建材店での単価が地域によって大きく異なっているのです。
地方の単価は安く、都市部の単価は高く設定されています。自分の住む地域の相場を知るためには、何社か見積もり比べてみるのが一番わかりやすいです。
今回のこの見積もりの場合、首都圏近郊にあたる埼玉県ということで、若干高い設定になっていました。さらに、提携しているのが一条工務店なので、規模の大きなハウスメーカーです。
大手になればなるほど、実際に作業をする職人にたどり着くまでに多くの会社・子会社・下請け業者を通すことになります。
間に4~5社入っていることも珍しくはありません。
多くの会社を介する事によって発生した人件費や手数料が、上乗せされているというわけですね。
なので、小さな工務店や職人さんに直接依頼すると、50~100万は安く済ませることができます。地域や依頼先の状況によっては、もっと安くなることも(^^;)
もし職人さんに直接依頼して上乗せした見積もりを作られたとしても、途中でかかる経費が少ない分ハウスメーカーに依頼するよりも安くなる事が多いです。
ただし、建築関係者に知り合いでもいない限り、誰に頼めば丁寧に仕上げてくれるのかを見極めることは難しいという現実もあります。
突貫工事でもされてしまっては、せっかくの庭が台無しですよね。そういった心配がない分、ハウスメーカーの見積もりが高く設定されていると言っても間違いではありません。
また、良いハウスメーカーはアフターサービスもしっかりしています。満足のいく仕上がりを望むのであれば、多少高くなってもハウスメーカーに依頼するのが賢い選択といえるでしょう。
続いて、2つ目の見積もりを検証していきます。
立面図
平面図
コチラのインターロッキングを使ったオシャレな外構の見積額ですが、5,604,960円と提示されていました。これは、すごく高いという印象を受けました。正直、ハウスメーカー提携の外構業者という事を差し引いても高いです。
この工事内容に560万かけるのであれば、同じ金額で一般の工務店に直接依頼すれば物凄く豪華な庭ができてしまいます。では、何が原因でここまで高くなってしまったのか?要因は4つあります。
高額な見積もりの要因
- 諸経費
- 上乗せ(マージン)
- 製品代金
- デザイン重視
諸経費|工事とは直接関係のない費用
たいていの見積書には『諸経費』という項目があります。ハウスメーカーに依頼すると、ここが一番高くなりやすい部分です。数十万もする諸経費とは、一体何にかかるお金なのでしょうか?
それは、工事には直接関わりのない経費です。
先ほども少し解説しましたが、ハウスメーカーからの紹介の場合、現場や工務店・職人・作業を管理するための現場管理費、ハウスメーカー・工務店・現場を繋ぐ庶務連絡などの本社管理費が必要になります。
諸経費にはそれらが含まれており、その多くの部分が人件費に充てられるのです。施工後のアフターサービスや保証など、施工主のために使われている経費もこの諸経費に入っているので、大手ハウスメーカーに依頼する以上仕方のない出費です。
そのため『諸経費が高い=ボッタクリ』ではありません。
むしろ『勿体ない、払いたくない』と思うお客様心理から、極端に諸経費を安くしているハウスメーカーの方が注意が必要です。諸経費が安すぎる場合、お得感を出すために他の項目に分散させて隠していることもあるのです。
こういうことをするメーカーは、追加工事が多かったり、アフターフォローがなっていなかったり、職人さんのレベルが低かったりと後悔のもとになる場合も。
諸経費に疑問があれば、直接ハウスメーカーに質問してしまいましょう。良いハウスメーカーなら、見積書の項目が細かくて説明も丁寧です。突っ込まれたくない筈の諸経費について聞かれた時の説明の仕方や対応力で、良いハウスメーカーかどうかを見分けましょう。
ちなみにですが、ハウスメーカーの坪単価は職人の質のバロメーターにもなっています。坪単価が高いハウスメーカーは、作業中のチェック項目がとても細かく、作業する職人さんも選び抜かれていることが多いのです。
職人さんというのは横のつながりを大切にしていて、仕事を紹介し合います。坪単価が高い大手メーカーなどの仕事は、腕と人柄が良くなければ仕事をまわすことはありません。そのため、大手には腕のいい職人さんが集まりやすくなるのです。
外構工事の依頼先は、自分の予算と坪単価をすり合わせた上で、担当者の対応力で決めると失敗が少なくなります。
ただ、今回の560万円の見積もりに対して、諸経費は55万円もかかっていました。
諸経費の必要性を加味しても、高すぎるという印象です。施工例を見るととても丁寧でクオリティが高いので、惜しい点ではあります。同業者目線で見ても、ここまで綺麗に仕上げる職人さんは正直少ないです。
上乗せ|各項目に知らぬ間に追加されている費用
続いて、『上乗せ』についてみていきましょう。まず大前提の話となりますが、上乗せはハウスメーカー提携の外構業者であれば大体やっています(^^;)なので、この見積書でもほとんどの項目が少しずつ高いです。
厄介なのは目立たずわかりにくい点ですが、ハッキリと上乗せされている項目が2つありました。
土工事と基礎工事です。
土工事は、残土が実際にどれくらい出るのかによっても金額が変わってきます。基礎工事は、土地の高低差によってブロックの積み上げる段数が変わってきます。それによって、必要な鉄筋の本数が変わってくるので金額も変わります。
項目の詳しい解説はコチラ▼
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今回の見積もりでは、5.5m単位で金額が出されていました。変動要因は多々あるのですが、これらの変動分を差し引いいたとしても土工事と基礎工事には多く上乗せされているのが明らかなくらい高いです。
デザイン重視の不必要な工事と製品代金
次はデザイン重視の不必要な工事と製品代金についてみてきましょう。デザインが良く、見栄えが良いからといって、それは必須工事とはいえません。
製品に関しても、見栄えを良くするために施工を依頼すれば、その一つ一つに取り付け工賃がかかってきます。これらは、本当に必要なものなのかどうか、吟味しながら削っていかなければなりません。
製品の価格と見栄えを天秤にかけながら安いものに変えていくと、かなりの費用を削減することが可能です。
例えば、アプローチを作るかどうか、土間コンクリートを枠抜きをするかどうかだけでも、10~30万円は変わってきます。土間コンクリートというのは高額商品なので、本当に必要な範囲に絞ると大幅に安くなるのです。
コチラは、門柱の見積もりです。安いものなら2~3万ですが、今回の見積もりは7万以上かかっていました。アクセントポールというのはただの飾りに過ぎず、もっとお手頃な金額のモノがたくさんあります。
スロープに設置するフェンスや手すりも同様で、メーカーや仕様を少し変えるだけで金額は大幅に安くなります。ぜひ、オススメされた商品以外の物を、カタログやHPで探してみてください。
製品の中でも一番高い見積もりだったのがウッドデッキです。70万円もかかっていますが、これもメーカーや仕様を変えれば10~20万程度で済ませることも可能。ウッドデッキ用のフェンスは特に高いので、必要性をしっかりと吟味しましょう。
今回の見積もりは560万円でしたが、これらを地道に削っていけばクオリティを下げずに400万円後半を狙えるはずです。
出来るだけ安く、満足いく仕上がりにするために
ハウスメーカーに外構工事を依頼した場合でも、金額を抑えつつ満足のいく仕上がりにすることは可能です。
そのポイントは、ハッキリと優先順位をつけることです!
土地選びの段階では、何となくの希望・要望でもかまいません。しかし、ハウスメーカー側で仮の図面や見積もりを出してくる前に、自分たちの理想のエクステリアを出来るだけ具体的に思い描いておいてください。
そうすることで、無駄な出費を抑えやすくなります。例えば、夕飯の献立を決めてから買い物に行く方が、漠然としたままセール品や欲しいものを買ってしまった時よりも出費が少ないのと同じですね(^^;)
そして、何が高いかを知っておくことも大切です。少額のモノをいくら削ったとしても、やはり安くなるのは少額。外構工事においては、アルミ製品とコンクリート工事が高額なので、ここを優先的に削っていきましょう。
アルミ製品には、フェンス・門扉・システム門柱・デッキなどがあります。中でもデッキは元々の質量が大きので、高額になりやすいです。
まとめ
以上、一条工務店のi-smart|提携業者の外構はどうして高いのか?についての紹介でした!
素人ではサッパリわからなかった見積もりですが、外構業者の方の目線で見るとハッキリとした上乗せがあることがわかりました。
記事作成をお願いして問題に感じたのは、『見積もりの上乗せは、素人にはわからない』という点です。家の情報と違い、外構の情報は少ないですしね。
なので、質の高い外構業者を見抜くには、見積もりを何社もとって見比べながら交渉していくしかなさそうです。