このコンテンツは、クラウドソーシング「ランサーズ」を利用して、宅地建物取引士の資格を持つ方に書いていただきました。
土地を買うというのは大仕事です。契約の知識も必要、近隣の状況も把握しなければなりません。もし、それらを怠ると希望の家が建てられなかったり、一生村八分にされる可能性もあります。
そこで、今回は土地を購入する際に発生しやすいトラブルを、5つに絞って紹介します!
注文住宅と土地はどちらが重要なのか?
人は家を建てる時に、上物部分である「建物」について高い関心を抱きます。実際に家の中で生活するため、興味や関心を持ちやすいのでしょう。
しかし、本当に長く快適に過ごすためには「建物」以上に「土地」について気を付けなければなりません。いざとなれば、建物はリフォームなどで修正が可能です。
しかし、根本的な土台である土地にトラブルがあれば、建物の問題を解決するよりも難しいのは明らかです。
土地を購入するときに発生しやすい5つのトラブル
土地購入には、土地の数だけ失敗例やトラブルがあります。その理由は、この世に同じ土地は二つと存在しないからです。そんな中でも、初心者が抑えたい5つの典型的なトラブルがあります。
5つのトラブル
- 書類上の面積と実測
- 実測売買と公募売買
- 違約金・解除条項
- 隣地トラブル
- 私道トラブル
これらについて知っておくことで、土地購入の「注意点」を意識した状態で交渉に臨めます。つまり、土地購入において自分で判断ができるようになるのです。
①書類上の面積と実測
「購入した土地の面積が公図と実測で異なっていて、希望の間取りで家を建てられない」
このようなケースが存在します。
土地購入をした後、住宅建築を進めているときに発覚するケースが多いです。このような場合、希望の間取りが作れず、買主の泣き寝入りとなってしまいます。
②実測売買と公簿売買
土地を購入する価格の決め方を知らないと、損することがあります。土地購入の取引金額は、実測売買と公簿売買によって決め方が変わります。
実はこの公簿売買の場合、損をする可能性があるのです。まずは、実測売買について紹介します。
実測売買
- 登記簿の表示面積で、仮の価格を決める
- 後で実際に測定を行い、その面積の差額を清算する
このため、登記簿に記録されている土地面積と実際の土地の面積が違う場合でも、正確を期した取引ができます。
公簿売買
公簿売買は「登記簿」の記載面積で土地購入の価格が決まる契約
そのため、実際に測量したら登記記録の面積より少ないケースもあります。しかし、そのような場合でも取引金額が変更できないのです。
公簿売買を選んで土地面積のずれがあった場合、トラブルが待ち受けている可能性が高いです。希望の住宅の間取りで建築ができなくなるなどのケースも予測されます。
土地購入の際は、自分が購入する土地がどのように価格決定されるか知識を持つことが大切です。
③違約金・解除条項
土地購入の際には、売買契約書を交わすことになります。不動産取引では素人のお客さんを保護するため、重要事項説明を行い、その後売買契約を締結することになります。
この重要事項説明を受けて、売買契約書にサインした後の取引の解除は契約書の内容に従って進められます。契約書に書かれている契約解除の条項や、違約金に関する内容は最低限把握しておきましょう。
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④隣地トラブル
不動産には、隣地とのトラブルも多く存在します。例えば隣家の工作物などが、自分の購入する土地に入り込んでいる場合は注意が必要です。
不動産会社はこれら工作物が撤去することを前提に、土地購入を勧めてきます。しかし、隣家の理解を得られず工作物が撤去してもらえないこともあります。その場合、希望の広さで住宅を建てられなくなる可能性が出てくるのです。
自分の土地の隣地については、境界に関してトラブルになる要素がないか不動産会社に十分確認を取りましょう。
我が家の場合、土地の境界に仕切りを作る必要がありました。その土地に降った雨は、その土地で処理をすると市で決められていたからです。
そこで、境界にはブロックで土留めを設置してもらいました。しかし、道路ギリギリまで設置しないといけなかったもので、、
今までブロックなしで車を出し入れしていたお隣さんが、車をぶつけてしまったのです。正直、私も邪魔だな、、って思っていました。しかし、これを作らないと家が建てられないので設置しました。
ご丁寧に謝罪にいらしたので、特に問題にはなりませんでしたが、、ちょっと申し訳ない思いもあります。ご近所付き合いは大切です(^^;)
⑤私道トラブル
私道を含む土地購入の場合、高確率でトラブルが発生します。公道は国や地方公共団体が所有していますから、権利関係は明白です。
しかし、私道の場合は私人が所有する土地です。複雑な権利関係が生じているケースもあるのです。土地購入の際は、私道の道路持ち分まで売買に含まれているか必ず確認しましょう。
なぜなら、道路持ち分までセットで売却しなければいけない義務は基本的にはないからです。
土地から公道にでるための道が「私道」であり、自分に所有権がないとすれば、所有者から通行料を請求されるケースもあります。
私道トラブルを防ぐためには、道路の持ち分はあるのか、私道の管理で近隣住民との決まりがあるか等を確認すれば良いでしょう。
住宅を建てるためには、公道と接している必要があります。公道にでるための道路に持ち分がないと、この条件を満たしていないことになりますから、家を建てる許可が下りないこともあります。
ちょっとわかりにくいので、上記の例で考えてみましょう。
不動産会社が分譲住宅を6棟建てて販売しようとしています。その場合、この私道が建築基準法上の道路とみなされるように、行政庁に申請します。
このような私道を位置指定道路と呼びます。この私道は6棟の各家の居住者に6分の1ずつ持ち分があり、共有物として各家に通行地役権が認められます。
上記の例の場合、少し複雑になります。
私道の所有権がA家とB家のみで、C家に持ち分がない場合は家を建てられないのでしょうか。結論を言いますと、私道の持ち分がなくても建築確認さえ取れれば、理論的には住宅建築が可能です。
ただし、A家とB家にしか私道の持ち分がありませんので、C家からすれば他人の道路です。通行の承諾が必要となったり、『車』での通行は禁止するなどの制限がつく恐れがあります。(公益上の観点から、通行の拒絶はできません。)
さらに、水道の工事には私道の掘削が必要になります。それについても承諾を得る必要があります。つまり、理論上は家を建てられますが、事実上は承諾がないと家を建てられないということです。
道路が私道の場合、持ち分も土地代金に含まれているかは必ず確認を行いましょう。
まとめ
以上、注文住宅における土地購入で起こりやすいトラブルを5つ紹介でした!
主なトラブルは、以下のようにまとめられます。
5つのトラブル
- 書類上の面積と実測
- 実測売買と公募売買
- 違約金・解除条項
- 隣地トラブル
- 私道トラブル
土地を購入するときは、販売形態、解約方法に注意し、ご近所の状況を把握する必要がありそうですね。
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